脂質異常症とは
脂質異常症とは血液中にあるコレステロールの量が多くなってしまう疾患のことです。
コレステロールの量が多くなってしまうと、余分な脂質が血管内にとどまってしまう原因になり、血管が詰まりやすくなったり血流が悪くなることから、様々な合併症の原因になってしまいます。
脂質異常症と診断される際の基準は下記のようになります。
① LDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪が多くなってしまう
種類 | 基準値 |
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高コレステロール血症 | LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が140㎎/dl以上 |
境界性高コレステロール血症 | LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が120㎎/dl~139㎎/dl |
② HDLコレステロール(善玉コレステロール)が少なくなってしまう
種類 | 基準値 |
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高トリグリセライド血症 | TG150mg/dl以上 |
このような方は受診をおすすめします
- 健康診断でコレステロール値が高いと指摘された
- 体型が肥満である
- 肉類や揚げ物などのカロリーが高いものを好んでよく食べる
- 甘いものを間食などでよく食べる
- たばこを吸っている
脂質異常症の原因
脂質異常症の原因は主には生活習慣の乱れによるものが多く、これを続発性脂質異常症と呼びます。
続発性脂質異常症に当てはまる方には下記のような生活習慣をお持ちの方が多いため、当てはまる方は注意が必要です。
- つい食べすぎてしまう
- 脂っこいものや甘いものなど脂質が多く、カロリーの高い食事を好む
- 運動不足である
- 喫煙の習慣がある
一方で生活習慣等に関係なく、遺伝的に脂質異常症を発症してしまう、原発性脂質異常症もございます。
近親者の方に脂質異常症をお持ちの方がいらっしゃると発症リスクが高まるため、該当する方は定期的に血液検査などを受けていただき状況のご確認をいただけますと、早期の発見、治療に移行できるようになります。
脂質異常症のリスク・影響
脂質異常症になると血管の中に余分なコレステロールが蓄積し、血流を阻害したり、血栓を構成して最終的には下記のような重篤な合併症を併発します。
脳梗塞
コレステロールの蓄積によって血管が狭くなった結果、脳内の血管が詰まってしまう疾患です。
脳内の血管が詰まると、血液の流れが滞るため栄養分が脳に不足し、細胞が壊死してしまいます。
そのため1度脳梗塞が起こると言語障害や意識障害などの後遺症が残る可能性が高くなります。
心筋梗塞
心臓の血管がつまり、血流が悪くなることによって起こる疾患で、脳梗塞同様、心臓の細胞が壊死してしまいます。細胞が壊死した結果、心機能の低下を招き、突然死の原因にもなる病です。
脂質異常症の治療方法
脂質異常症の治療の基本は食事療法と運動療法などによる、生活習慣の改善です。
まずは生活習慣の改善に着手し、これまで摂りすぎていた脂質量の多い食事の改善、運動不足の解消を行い、服薬治療も行います。
食事療法
脂質の多い、油物や甘いものは避け、適正な脂質量、カロリー摂取量になるように1日の食事の見直しを行います。
体重も適正体重になるようにコントロールを図ります。
運動療法
いきなり激しい運動をする必要はなく、徐々にできる範囲で軽い運動を行います。
運動習慣を身に着け、肥満体型の方は適正体重への移行を目指します。
薬物療法
脂質異常症の治療薬にはコレステロール値を下げるもの、中性脂肪を下げるもの、この両方を下げるものの3パターンがあります。
血液検査の結果等を踏まえて、適正な治療薬を医師が処方し、血液中のコレステロール値の改善を行います。
お問い合わせ
脂質異常症は症状はないものの、気が付かないうちに進行してしまうと、重篤な疾患に発展してしまう病です。
健康診断や血液検査等でコレステロール値や中性脂肪を指摘された場合や、思い当たる症状がある場合には当院へご相談ください。