甲状腺外来
甲状腺疾患とは
甲状腺に関連する主な疾患には、バセドウ病、橋本病、甲状腺腫瘍、亜急性甲状腺炎があります。バセドウ病と橋本病は甲状腺ホルモンの分泌異常において対照的な疾患ですが、どちらも自身の免疫系が産生する抗体が甲状腺に作用することから、「自己免疫性甲状腺疾患」という同じカテゴリーに分類されています。甲状腺腫瘍については、サイズが小さなものでも、近年の健康診断における画像検査の普及により、偶発的に発見される機会が増加しています。
バセドウ病について
体内で産生される甲状腺刺激ホルモン受容体抗体(TRAb)が甲状腺を過度に刺激することで、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患です。 主に女性に発症しやすい病気として知られています。
バセドウ病の症状
- 動悸・心拍異常
- イライラ感
- 手指の震え
- 多汗・皮膚の湿り気
- 体重の減少
- 筋力の低下・倦怠感
- 眼球の突出
このような症状が徐々に現れた際は、早期に検査を受けてバセドウ病の診断を受けることが重要です。症状を放置すると心臓への負荷が増大し、心不全という深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
バセドウ病の検査手順
甲状腺ホルモン値、下垂体由来の甲状腺刺激ホルモン値、甲状腺刺激抗体であるTRAbの数値を測定します。
甲状腺の腫れの有無や甲状腺内血流の増加状況を確認します。
当院の治療方法は主に内服薬による薬物療法行っております。
症状に応じて動悸を和らげる薬物やイライラ感を抑制する薬物も併用されることがありますが、状況によっては、甲状腺ホルモンの合成・分泌を抑制する無機ヨウ素も使用しながら治療を行っていきます。
橋本病(慢性甲状腺炎)について
甲状腺に炎症反応を引き起こす抗体が体内で生成され、持続的な甲状腺炎症が生じることで、一部の患者において甲状腺ホルモンの分泌機能が低下する疾患です。
慢性甲状腺炎とも呼ばれ、1912年に九州帝国大学(現九州大学)の橋本策医師によって初回報告されたことから橋本病の名称でも知られています。
大多数の患者は自覚症状を伴わず、健康診断等で甲状腺の腫れが指摘されることで発見されます。
橋本病の症状
- 甲状腺の腫れ
- 意欲の低下
- 易疲労感
- 浮腫
- 寒冷感
- 体重の増加
- 便通異常
- 記憶能力の低下
- 抑うつ状態
これらの症状を認めた場合は、速やかに検査を受けて橋本病の診断を確認する必要があります。
症状を放置すると意識障害を伴う昏睡状態に至る危険性があり、さらに甲状腺ホルモンの低下は不妊症や流産のリスク要因となることがありますので早めの受診の必要があります。
橋本病の検査
血液検査により甲状腺ホルモン値、下垂体由来の甲状腺刺激ホルモン値、甲状腺炎症の原因となる抗サイログロブリン抗体や抗TPO抗体の数値を測定します。
甲状腺超音波検査を実施し、甲状腺の腫れの有無や炎症による甲状腺内部の変化を確認します。
大多数の患者では甲状腺機能は正常範囲内にあるため、血液検査による甲状腺ホルモン値の定期的な経過観察のみが行われます。
甲状腺ホルモンの低下を認める場合は、甲状腺ホルモン製剤を少量から開始し、甲状腺ホルモン値が正常範囲に近づくまで段階的に増量します。
甲状腺ホルモン値に変動が見られることがあり、薬物量を減量できる場合もあります。
妊娠・出産を計画している場合は、明確なホルモン低下が現れる前の段階(潜在性甲状腺機能低下症)でも不妊や流産の原因となる可能性があるため、早期から甲状腺ホルモン製剤による治療を開始することがあります。
甲状腺腫瘍について
甲状腺腫瘍は腫瘍様病変、良性腫瘍、悪性腫瘍に分類されます。
健康診断における胸部CT検査で甲状腺が撮像範囲に含まれることにより、偶発的に甲状腺腫瘍が発見される事例が増加しています。
最も頻繁に見つかるものは腫瘍様病変である腺腫様甲状腺腫です。良性腫瘍では濾胞腺腫が代表的であり、悪性腫瘍には乳頭癌、濾胞癌、未分化癌、髄様癌、悪性リンパ腫などが含まれます。
甲状腺腫瘍の症状
- 甲状腺の腫れ
- 甲状腺部分の痛み
- 頸部の圧迫感
このような症状がある場合は、早期に検査を受けて甲状腺腫瘍の有無の確認が必要です。
悪性が疑われる場合や良悪の鑑別が困難な場合には外科的治療が必要です。
甲状腺腫瘍の検査
血液検査を実施し、甲状腺腫瘍に関連する腫瘍マーカーや甲状腺ホルモン値の異常の有無を確認します。
超音波検査により甲状腺腫瘍のサイズ、性状、個数などを評価します。必要に応じて大学病院へ紹介し、腫瘍に対する穿刺吸引細胞診により良悪性の詳細な判定を行います。
腺腫様甲状腺腫や良性の濾胞腺腫については経過観察が基本となります。
サイズが大きく頸部圧迫症状が顕著な場合は、専門施設でのエタノール注入療法による縮小治療や摘出手術が検討されます。
悪性腫瘍の場合は原則として外科的切除が行われます。ただし、数ミリメートル程度の微小乳頭癌については手術適応について医学的見解が分かれているのが現状です。
亜急性甲状腺炎について
「亜急性」とは急性より症状が長期間持続するものの、慢性的には継続しない病態を指します。
この亜急性甲状腺炎はウイルス感染に関連して発症すると考えられている甲状腺の炎症性疾患で、甲状腺部の疼痛と発熱を特徴とします。
30〜40歳代の女性に好発し、男性の発症頻度は女性と比較して低い傾向があります。
風邪のような症状に引き続いて発症することが多く、ウイルス感染が発症に関与している可能性が示唆されていますが、明確な原因は解明されていません。
亜急性甲状腺炎の症状
- 甲状腺の腫れ
- 甲状腺部分の痛み
- 発熱
- 動悸・息切れ
- 手指の震え
- 多汗
- 体重減少
- 慢性疲労
これらの症状を認めた場合は、速やかに検査を受けて亜急性甲状腺炎の診断・診療をすることが重要です。
亜急性甲状腺炎の検査
血液検査により炎症マーカー(CRP)、甲状腺ホルモン値、サイログロブリン値を測定します。
甲状腺超音波検査を実施し、甲状腺の腫れや炎症性変化を確認します。
軽症例では自然治癒することが多いとされますが、発熱や疼痛が強い場合、またはホルモン高値による頻脈を認める場合には薬物療法を実施します。
発熱・疼痛に対しては副腎皮質ホルモン(ステロイド薬)または非ステロイド性抗炎症薬を症状の程度に応じて選択し、頻脈に対しては必要に応じて心拍数調整薬を併用します。
副腎皮質ホルモン使用時は通常2~3ヶ月間で段階的に減量し、治療中の自己判断による中止は避けて、医師の指示に従って服薬を継続することが重要です。
診療について
予め、web問診に入力してご来院ください。
入力ができないときは来院後に問診票に入力していただきます。
当日、保険証とお持ちの場合は健診結果・診療情報提供書をご持参ください。
当院ではWEB予約に「デジスマ診療」を使用しています。
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診療時間
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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休診日 水曜日・土曜日午後・日曜・祝日
アクセス
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最寄駅
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