健康診断の結果を放置していませんか？

健康診断や人間ドックを定期的に受けることは、病気を早期に発見するうえで非常に重要です。

以下では、検査結果に登場する医学的な専門用語や、生活習慣病などの病気について解説します。ご自身の健康への理解を深めるためにも、健康診断を有効に活用しましょう。

要再検査・要精密検査とは

健康診断の結果として「要再検査」や「要精密検査」と記載されることがありますが、それぞれの意味は異なります。

検査結果によっては、命に関わるような重大な病気や、生活の質（QOL）を大きく損なう病気が隠れている可能性もあります。特に生活習慣病に関しては、自覚症状がないまま進行することが多く、気づいた時には脳や心臓などに深刻なダメージが及んでいるケースもあります。

生活習慣病は、できる限り早い段階で発見し、治療を始めることが大切です。早期に対応することで、QOLの向上や健康寿命の延伸が期待できますので、ぜひ一度専門医にご相談ください。

異常なしと診断されたら

すべての検査項目が基準範囲内に収まっており、現時点で特に問題はありません。

要経過観察・要再検査と診断されたら

一部の数値が基準値を超えていた場合は、定期的な経過観察や再検査が必要となります。すぐに治療が必要というわけではありませんが、将来の健康を守るためには生活習慣の見直しが重要です。

当院では、普段の生活を送りながら実践できる治療や改善方法をご提案しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

要精密検査と診断されたら

この診断は、何らかの疾患の可能性があるため、より詳しい検査が必要であることを意味します。ただし、「要精密検査」と書かれていても、すぐに重大な病気が見つかるとは限りません。早期発見のためにも、できるだけ早めに精密検査を受けることをおすすめします。

要治療と診断されたら

すでに病気が進行している可能性が高く、放置することは大きなリスクにつながります。できるだけ早く専門医を受診し、適切な治療を開始することが重要です。

検査項目

脂質異常症（高脂血症）：コレステロール・中性脂肪

LDL（悪玉）コレステロールが高い・HDL（善玉）コレステロールが低い・中性脂肪（トリグリセライド）が高い、これら3つのうちいずれかに該当すると、脂質異常症と診断されます。

自覚症状がないために、指摘されても放置されがちですが、脂質異常症を放っておくと血液中の脂質が血管内に蓄積し、動脈硬化を招きます。

脂質異常症は動脈硬化の最大の要因とも言われていますので、放置せずにまずは当院までご相談ください。

血圧

家庭で測定して135/85以上、または医療機関で140/90以上の血圧がある場合、高血圧と診断されます。
高血圧の状態が続くと、心臓や血管に負担がかかり、無症状でも動脈硬化や心肥大に進行する可能性があります。さらに放置することで、脳卒中・心筋梗塞・心不全・不整脈・動脈瘤・腎不全などの深刻な病気につながります。
高血圧の合併症は重篤なものが多いため、血圧が高いとわかったら放置せず、まずは当院へご相談ください。

糖尿病：血糖値・HbA1c

健康診断で血糖値やHbA1cが高いと指摘された場合、糖尿病の疑いがあります。糖尿病を放置すると全身に多くの合併症を引き起こし、命に関わることもあります。
糖尿病には複数のタイプがありますが、日本人の場合、95％以上が2型糖尿病であり、運動不足や乱れた生活習慣が主な原因です。
健康診断で早期に異常が見つかれば、食事や運動による改善が期待できます。

血糖値

血糖値とは血液中のブドウ糖（グルコース）の量を指し、食後に上昇し、時間の経過とともに低下する特徴があります。常に高い状態が続く場合、糖尿病の可能性があると考えられます。検査はできる限り空腹時に行うことで、より正確な値が得られます。

HbA1c

HbA1c（ヘモグロビンA1c）は、過去1～2か月の血糖値の平均を示す指標であり、糖尿病の「診断」だけでなく「治療の効果確認」にも用いられます。
HbA1cの正常値は4.6～6.2%、6.0～6.4%は境界型、6.5%以上で糖尿病型とされます（日本糖尿病学会）。
たとえ境界型であっても、全身の血管に影響が及ぶため、早い段階で生活習慣の見直しが重要です。

肝機能：ビリルビン・AST（GOT）・ALT（GPT）・γ-GTP

これらは肝臓の状態を示す項目で、異常や機能低下があると数値に変化が見られます。
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、症状が現れた時には病気がかなり進んでいることも少なくありません。
検査でこれらの数値が異常とされた際には、すぐに当院へご相談ください。

腎機能：クレアチニン（Cr）・推算糸球体ろ過量（e-GFR）、尿素窒素（BUN）

これらは腎臓の働きを表す数値で、異常があると上昇または低下します。
腎臓は血液から老廃物を取り除く「糸球体」という構造から成っており、この働きが低下することで慢性腎臓病に進行することがあります。
慢性腎臓病は特定の病名ではなく、さまざまな要因で腎機能が長期的に低下している状態を指します。
初期には自覚症状が乏しいため、数値に異常が見られた場合は早期にご相談ください。

膵機能：アミラーゼ・リパーゼ

これらは膵臓の消化酵素で、異常があると血液中に漏れ出し数値に反映されます。
アミラーゼはでんぷんを、リパーゼは脂肪を分解する働きを持つ酵素です。
膵臓の疾患は見つけにくく、重症化すると命に関わる可能性があります。
検査でこれらの数値が異常であった場合には、早めに当院までご相談ください。